在留資格に関する異例の処分に驚いた件(東京福祉大学事件への見解続き)

<TIME5>留学生不明・東京福祉大・研究生・在留資格の付与停止

東京福祉大学で昨年度までの3年間に留学生1610人が所在不明になっている問題で国は調査結果を発表し、留学生の安易な受け入れや不十分な在籍管理によるもので「大学の責任は重大」と指摘した。
国は東京福祉大学に対して研究生の受け入れを見合わせるよう指導するとともに、申請があっても在留資格を与えないと発表した。
国が大学に対し、留学生の受け入れを制限するのは初めて。
文部科学省は大学などにおける留学生の在籍管理を徹底するための明確な仕組みを作るとしている。

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元・業界の端くれの人間として、この在留管理不良案件への感想を前に書いた。


https://kisaragi232.hatenablog.com/entry/2019/03/16/144550


東京福祉大学についてはその後も、文科省と入管がどんな処分を下すのか気になってニュースを注視していたが……この「在留資格を与えない」と断言した予告は、10年も在留関係業界にいて初めて見聞きしたので驚いた。



通常、外国人留学生の在留管理が適切に行われていないとみなされた教育機関に対しては立ち入り調査&警告➡在留申請は出来るが、許可が降りない傾向になる。それがあらかじめ「在留資格をあげないから申請もするな」とは随分あからさまだなあ、というのが感想。



これまでの来歴が余程悪質だと思われたのだろうか。確かに。留学生の実態があるか怪しい大学や専門学校は全国に数知れずあるが、定員の8倍やら10倍の学生を受入れ、しかもそのほとんどが所在不明というのは類を見ない。



今まで法務省や日本政財界は、企業の人手不足解消のために、このような「経済力や学力が留学生としてのレベルを満たさない外国人」を黙認して入国させてきた。


私は入管の統括審査官が「どーせ、殆どの書類は偽物だって分かってて審査してるんだよ」と放言するのを聞いている。



そんな状況から、これから技能実習生という名の労働ビザが拡充されたら、偽装留学生やレベルの低い留学生が所属する教育機関には、手のひらを返したように辛く当たる(ビザが出なくなる)だろう。



まあ、お上は随分都合良く庶民をお使いになることで……といううんざりした感想しかない。



今回のことで東京福祉大学の存続は難しくなるかも知れない。狭い業界のため、知り合いの講師も何人かいるし、経営陣がワンマン体制&パワハラが酷いという内部事情も少しは知っている。


だから経営陣はともかく、逆らえない立場の講師や職員には同情すべき点もあるように感じてしまう。



真面目にやっている学部生や日本人学生は無事に卒業出来、就職に障らないことを願ってやみません。