東京福祉大の留学生大量行方不明事案について、法務省に対して思うこと・上

留学生の在籍数が国内トップクラスの東京福祉大学で、1年間におよそ700人もの留学生が所在不明となっていることが、JNNの取材で分かりました。これほど多くの留学生が所在不明となるのは極めて異例で、文部科学省法務省は近く本格的な調査に乗り出す方針です。(Yahoo!ニュースより)


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このニュースを受けて、Yahoo!ニュースコメントでは「こんな学校は潰せ!」「入管には徹底的に調べて欲しい」というような論調が多数を占めている。



だが、数年来入管法に関連した業務を取り扱う法律事務所や日本語学校で働いてきた私に言わせれば、東京福祉大学を潰しても当該大学の件が解決するだけに過ぎず、全体的な不法滞在の解決はない。



何故かと言うと、2000年代には酒田短期大学萩国際大学で同様の事件があり、当該大学は潰れた。だがその後も似たような「留学生が日本人学生より遥かに多い上、授業のレベルや在留管理のレベルは低い」という大学や専門学校が次々と発生しているからだ。



そもそも海外から直接大学に入学することは少ない。大部分の留学生は1、2年日本語学校に通い、授業が理解できるレベルに達した後に大学受験して進学することになっている。(※大学によっては自前の日本語学校を持ち、内部進学のパターンもある)



留学生向けのセンター試験のようなものもあり、国立大学は勿論、私大上位校であれば学術的な語彙もある位の日本語力、英語力、更に理数科目や社会科も偏差値換算で60以上はなくては入学出来ない。



国公立や早慶を受験するような、自国でレベルの高い教育を受けてきた層の留学生なら通常の努力でこなせる試験だ。しかし、自国で標準以下の学力だったり、自国の教育レベル自体が低かった場合は上位どころか中堅大学も合格は難しい。



また最近は中国や韓国が富裕化し、出稼ぎ目的で来る学生は激減、本物(?)の留学生は欧米に行く傾向になった。代わりにネパール、ミャンマーベトナムの学力の高くない学生が急増した。



漢字に縁のない文化圏の彼らは中国系と違い、日本語の日常会話は出来ても漢字を多用する筆記試験には非常に不得手とする。(※勿論これらの国々でも、優秀な学生は上位大学に入学出来ている。ここではそうでない学生を論じている)



つまり、日本語学校を卒業しても彼らを合格させてくれるような「まともな」大学は皆無である。だが、大学か専門学校を卒業しなくては就職のビザも取れず、留学ビザが切れ次第帰国しか途が無い。



そこで、日本人学生の確保に苦慮している地方の、知名度の乏しい大学はこのテの留学生の受け皿になってきた。こういった学生達は、例え卒業後の受け皿大学や専門学校がなくても帰国しないだろう。


だからこそ、出口である大学を減らすより先に、まずは入り口の日本語学校を減らすか学習環境を改善することが急務だと思う。では、そのためにどうすれば良いかと言うと……(続く)