セクハラ戦線(私以外)異常あり!⑤
告発とは言うが、セクハラは親告罪だ。警察に訴えるなら被害者本人が申し出なくてはいけない。
学生にそんな負担を与えたくないし、「しょっちゅうLINEが来る」位では立件出来ないだろう。ここは多人数からの被害の証拠を抑えて校長に言い、学内で処分してもらうしかなさそうだ。
内川くん👨「久保田課長からしつこく連絡がある人は手を挙げて♥とか授業中に声かけますかねぇ」
私🐷「そんなん絶対に名乗りでないでしょ💧私にセクハラしてくれれば話が早いんだけどね」
内川くん👨「キサラギ先生は見るからに久保田課長のタイプじゃなさそうだから無理っすよ😅
細くて女らしく、自己主張しない感じの人が好きみたいですよ」
私🐷「……💢あ、上野さんなんかどうかな?かなり久保田課長に気に入られてる感じしない?」
上野さんは内川くんの一年先輩で、華奢で大人しそうな人だ。久保田課長の部下歴が長く、頻繁に二人で出張に行くこともある。
内川くん👨「ああ、俺と三人で出張した時も、上野先輩にだけベタベタしたり、二人で飲みに行ったりしてましたよ!ちょっと話聞いてみますね」
私🐷「よろしく!私は松本主任に相談してみます」
松本主任も李彬の件には憤慨していたし、学生から幾つかセクハラと疑わしい事例を聞いていたが、また聞きばかりで決定的な証拠はないようだ。
上野さんには、内川くんが「久保田課長にセクハラされてるか聞くようにキサラギ先生が言ったので聞いてみました!どうっすか!?俺は可愛い後輩じゃないですか!何でも相談して下さいよ!」
と直接的に聞いたらしい。その直後、廊下ですれ違った彼女に思い切り睨まれた。内川……(-_-)
早くも手詰まりか、と思った矢先。
その数週間後、普段は週に3回校長室に短時間だけ滞在する校長が終業直前の事務局に顔を出した。校長の後には30代前半位の男性がついてきていた。
男性👨「久保田ちゃーん!暇?今日終わったら飲みに行かない?」
私🐷(誰?)
フリーザ様👨「理事長の息子さんです。たまに学校に遊びに来るんですが、久保田課長とは昔からの飲み仲間のようですよ」
なるほど。理事長の息子という後ろ楯があるから、久保田課長は学校の中では若手なのに年上のフリーザ様より大きな顔をしていられるのかも知れない。
久保田課長👨「フリーザ様、坊っちゃんの付き合いで今日は定時で上がります。男二人じゃムサくてなんだから、上野さんも一緒に行きますので」
フリーザ様👨「分かりました。お気をつけて」
久保田課長と上野さんが出ていくと、私の向かいの席の女性教員が露骨に顔をしかめ、「何か、デートみたいね。なんで必ず上野さんご指名なのかしら。男だけで行くか何人も誘うかすれば良いのに」と愚痴を言った。
フリーザ様👨「大げさですよ。久保田課長も上野さんもこの学校の卒業生だし、坊っちゃんとも学生時代から顔見知りですからね。私達、外部の大学を卒業して入った教職員とは親しみが違いますよ」
女性教員👩「でも、久保田課長って誤解される言動が多いと思いません?私の去年のクラスの子なんて、久保田課長から『大学推薦入試合格おめでとう!嬉しいけど寂しいです。しばらくあなたの夢を見そうだよ💕』ってLINEが来たんですよ!」
私🐷「キモ」
フリーザ様👨「それはギリギリと言うか、グレーでしたね。でも単に親愛の表現だと思いますよ💦」
フリーザ様、庇いきれてない!現実を直視して!
私🐷「……今度その学生が事務局に来たら、ちょっと私に話をさせて貰えませんか?」(続く)