セクハラ戦線(私以外)異常あり!④

私は李彬を伴って久保田課長に声をかけ、「李さんがアルバイトをクビにならないようにビザ更新を早めにしてあげたい。学費を所定の期限内に納めると誓約書も書くのでいかがですか」と相談した。



ところが、久保田課長はチラリと李彬を見た後、特に感情を籠めずに「ダメです⤵」と即否定した。



素行の悪い学生にも甘いから李彬には必ず許可するだろう……と思っていた私は焦り、たたみかけた。



私🐷「課長、李さんはここまでの出席率は100%です。GPA(成績)も学年で上位10番以内です。出席や成績がずっと悪い学生でも、同様の対応が認められてきていますよ。こちらが成績のデータです。


アルバイト先にも李さんの話の真偽の確認を取りました。本人も、何でしたら出国しないようにパスポートも預かってくれていいと言ってますので、もう少しご検討下さい💦」



久保田課長👨「検討するまでもありません。李彬が学費を完納しない限りビザは更新させません。」



黙っていた李彬が、もともと色白の顔を更に白くしながら「キサラギ先生、もういいです」とぼそっと呟いた。



李彬👨「先生はよく私を評価して下さって、2回も久保田先生に頼んで下さいました。もうお気持ちは充分です。久保田先生が私を嫌いなのは去年から知ってます。もう和解することはない💢」



私は李彬の怒りぶりと急展開に慌てた。「李さん、考え過ぎよ、焦らないで💦久保田課長も、何故他の学生に認められることが李さんにはダメなのか、根拠を示して下さらないと私は納得できません😥」と二人に向かって早口でまくし立てる。



ところが、久保田課長はプイっと横を向いたままで無言になった。私は苛立った。



私🐷(拗ねて無視かよ。小娘かっ!お前は妻帯者の中年男だろがっ!)⬅言う勇気はない😥



李彬は涙ぐみながら早足で事務局を出ていき、私が慌てて追いかけるもすでに見当たらなかった。



私🐷(後でアルバイト先の人に私から、李彬を解雇しないよう電話で頼んでみるか、いっそ久保田課長を飛ばして校長に相談するか……)



考えながら李彬に電話するも、電源は切られていた。その翌日もその後も繋がらないまま。



1週間後……李彬から「中国に帰りました。勉強を続けるにも経済的にも厳しいし、もう学校は除籍で構いませんから」と、パスポートの中国入国印が記載されたデータの添付されたメールが来た。



私はそのメールを見て「私の対応が悪かった😱」と絶望的な気持ちになり、松本主任とフリーザ様に報告した後フラフラと廊下に出た。そこへ、内川くんも後から廊下に出てきた。



内川くん👨「キサラギ先生、俺、今回の流れ見てたんですけど腹立ちますね💢李彬は去年俺の担当クラスだったんですけど、奨学金貰える要件を満たしてたのに久保田課長に却下されまして。成績がもっと悪い他の女子が貰ったんスよ」



私🐷「マジですか!じゃあ久保田課長が李彬を嫌いって、本人の被害妄想だけじゃないんだ?何で嫌われたのかな?何かやらかしました?」



内川くん👨「いや、何も。李彬が若い男でイケメンだからじゃないスか?おまけに頭も良くて女子から人気あるし。嫉妬ですよ。久保田課長は俺のこともそれで嫌ってるんじゃないかと思うんスよね😰」



私🐷(後半の言葉は無視)「嫉妬…セコい男だぜ💢」



内川くん👨「それだけじゃないんスよ。李彬にはそんなに冷たいのに、お気に入りの女子には一緒に付き添って大学見学とか行くらしいんですよ。」



私🐷「え、そうだっけ?そんな業務で外出してるの見たことないけど……」



内川くん👨「お気に入りには個人的に連絡して土日に行くみたいなんで、みんな知らないんですけどね。俺のクラスの子が『久保田先生からしょっちゅうLINE来てキモイ』って相談に来て、どうしたもんかと思ってたんです」



…………私と内川くんは暫し無言で見つめあった。



私🐷「これは……李彬のためにも奴をセクハラで告発して、リベンジ必須じゃね?」


内川くん「了解っス!やりましょう!」(続く)