実録!ビザ申請事件簿⑨魔性の女from福建省Ⅵ(シリーズ終)

ビザが不許可だった時に備え、勝手に出国や失踪しないように預かっていたパスポート。それを陳珊に引ったくられ逃走された💦



焦った私は東京入管2階の待合の椅子、1階のファミマや付属ラウンジの中まで彼女の姿を探してから外に出た。


一足遅く、ちょうど駅に向かうバスが出たばかりらしい。停留所には誰もいない。


私🐷(あ、完全に逃げられた……!)



妊娠8ヶ月なのに私より早く走れる陳珊に感心しながら、帰校して事情を報告する。担任はビザが出なかったことと陳珊が逃走したことにWの衝撃を受け「婚約者にも伝えて、行きそうな所を当たってみる😥」と悲しそうに肩を落とした。



翌日、婚約者である舘さん(仮名)も慌てて来校し、担任と私から状況の説明を聞いた。



舘さん👨「すみません、陳珊が日本でどこに身を寄せてるか、僕にも分からないんですよ……2年も付き合った割に彼女について詳しくなくて」



担任👩「そうですか。あの身体で働けないし、お金が尽きるから大人しく帰国するとは思うんですけど……」


舘さん👨「いえ、結構お金はあると思います。始終アルバイトしてたし、僕も学費の足しに、と毎月10万円位あげていたので」



担任&私「」



舘さんが帰った後、担任は「陳珊のバイタリティとか魔性の女力って凄いわ」と溜め息💨をついた。



確かに。結婚前の相手に月10万円貰っていた上、黙って風俗でアルバイトし、他の男性の子供を妊娠する👶……そこらの女性に出来ることではない、と私は深く感心した(感心するポイントが変💧)



その後、自宅を訪問したり陳珊の知人友人に聞いても消息は知れず。かといって、出国した形跡もないので日本には間違いなく滞在している……という状況が続いた半年くらい後だろうか。



担任👩「キサラギ先生、陳珊て覚えてる?」



私🐷「よーく覚えてます。何か分かりましたか?」



担任👩「先週陳珊から電話があって。新しく在留資格が取れたから、先学期の学費を日割りで返して欲しいって😱断ったけど」



私🐷「え……一体、何のビザが取れたっていうんですか?難民の申請を繰り返すパターンかな?」



担任👩「ふ……聞いて驚くな。『公用』の配偶者」


私🐷「ええー!?」


※公用、とは外国大使館や政府期間の職員が日本に滞在するための在留資格です。


私🐷「つまり、色々マズイ前歴のある、生まれたての赤ん坊持ちの陳珊が、外交官とかと結婚出来たってわけですね?😱」



担任👩「そゆこと。凄く不思議なんだけど。陳珊がファン・ビンビン位の絶世の美女なら分かるけど、普通の器量で年齢も31だっけ?とても若いってわけでもないでしょう😥」



私🐷「現代日本には、そこそこ条件が良くても結婚できない人が溢れているというのに……」



すみません、今回の話にはオチや教訓がつけられませんが……自分は毒親で苦労したと思ってたけど、それでも陳珊のようなバイタリティがないから💦
実はぬるま湯育ちなのかも……と感じた一件でした。見習いたいですね(無理)     (完)